SKALLER friend's 〜人生せきらら〜 #01 前編

今回からスタートした「SKALLER friend's 〜人生せきらら〜」。
スカラーが応援したいと考える、「人生の大きな過渡期を迎え、思い悩むことの多い30代〜40代女性」をスタッフの独断で、“スカラー世代” と命名!

そんな、スカラー世代へ向けて……

同じ仕事や趣味、ライフスタイルを約四半世紀(20年以上)の長きに渡り継続している先輩たちなら、きっと「強くしなやかに生きていく術」を知っているはず。

経験豊富で波瀾万丈な!?先輩方の物語を通して、皆さんの不安な背中を支え、ときには一歩踏みだす後押しをしていけたら嬉しく思います。

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スカラースタッフ一同

ヨガ講師歴20年。失敗も成功も、全てが人と場所を繋げていく #01  <前編>

記念すべき第一回目の「SKALLER friend's 〜人生せきらら〜」は、神戸元町にある「ヨガスタジオstudio SUNDARI」のオーナーを務める、濱田さやか先生にお話を伺いました。
2015年から毎年、神戸初の大型ヨガイベント「Come Join Yoga Fest Kobe」を企画・運営しているさやか先生は、スカラー世代をどの様に過ごしてきたのでしょうか。
そして何に悩み、何を感じていたのか……。簡潔明瞭で親しみやすく、多くのヨギーから憧れられる一人の女性のバックグラウンドに迫りました。

インドの書類に悪戦苦闘! スタートはRYT養成講座がない時代

私がヨガを知った1970〜1980年頃は、ちょうど日本にヨガが入ってきたばかり。私が本格的にヨガを始めるのは少し先の話になるのですが、当時のことを諸先輩方にお伺いすると、今伝えられているようなヨガに関する解剖生理学の深い知識は、日本人にはほとんど伝わっていない状況だったようです。
ヨガスタジオと呼べるような専門的な施設もほとんどなく、ヨガをやっている人も50〜70代の方がメインでした。

ーーーーそういった環境で、なぜヨガを始めてみようと思ったのでしょうか。

私は元々、スポーツクラブでフィットネスインストラクターとして働いていました。たまたま自分のクラスに参加してくれていた生徒さんの中に、ヨガ講師をされてる方がいたことがきっかけです。

<フィットネスインストラクター時代のさやか先生>

当時、すでにヨガを教えていた先生も少なからずいらっしゃいましたが、ヨガスタジオと呼べる場所はまだなく、主に地域のカルチャーセンターなどで指導するのが一般的だったと記憶しています。

ヨガはまだまだマイナーなジャンルでしたが、存在を知ったときに「何千年も受け継がれているならば、挑戦することで何か良い効果があるはず」と直感したんです。

そのときから、ヨガについて知識を深めたいという気持ちはありましたが、日本には1990年代後半くらいまで「全米ヨガアライアンス資格(以下、RYT)」のような、いわゆる現在ヨガインストラクターをしている方々が学んだであろう確立された養成講座が一切無かった。いざヨガの先生になろうと思っても、それこそRYTを取得するならアメリカまでいかないといけないような状況下でした。
そこで私は、日本でヨガを教えていた先生から教えを受けつつ、その数年後にヨガの指導をスタートしました。その後、日本にいながらインドの認定資格が取得できるコースを受講し、今に至ります。

ーーーーいまや、オンラインでヨガインストラクター資格が取得できる時代ですもんね。

あの頃なにが大変って、勉強し終わった後のコース認定資格申請書が、すべてインド仕様だったんですよ(笑)
当時、インドの書類関係は、ヨガに限らず結構面倒臭い手続きが多かったようで……。両親がどんな仕事をしているのかとか、「これ資格に関係ある!?」って内容もたくさん書きました。

強烈なプレッシャーのなか 隠し続けた心身の不調

ーーーーヨガを学ぶ場所も限られるなか、指導者として学びを深めようとした挑戦心が素晴らしいです!さやか先生は子供の頃から、新しいものや挑戦することに臆さないタイプだったのでしょうか。

新しいものを受け入れることに対する抵抗は、物心ついた頃からなかったですね。
その半面、学生時代は「〇〇しなきゃいけない」という決めつけの思考が働いてしまうタイプでした。当時は、陸上部の強豪校に在籍していたので、過酷な練習や強いプレッシャーを感じる場面も多くあって……。次第に、激しい腰痛・胃腸の不調を抱えてしまい、身体的にも精神的にも苦しい思いをしました。

数々の辛い症状を、親や部活仲間にも相談できたら良かったんですが……それができなかったんですよね。あの頃は、周りに自分の気持ちや状況を知ってもらうことが苦手だったんだと思います。
ヨガを通して「身体と心に関する知識を深めたい」と思うようになったのも、その頃の苦い経験が確実に影響しています。

ヨガも人間と同じ、多様化の道へ

ーーーーー近年、様々なジャンルのヨガを提供する団体も増えてきましたよね。ヨガがエンタメ化している昨今の状況に関して、さやか先生の見解をお伺いしたいです。

私の根幹には「ヨガは、日常生活のすべてに通ずるもの」という認識があります。そして、アーサナ(ヨガのポーズ)はその一部を切り取ったものであり、アーサナがヨガの全てではありません。

もちろんヨガで身体を動かすことによって、体型が変わる・痩せるといった効果があるのも事実です。しかし、それはあくまでヨガで得られる効果の副産物的な立ち位置にあると思っています。

SNSなどで目にする趣向を凝らした様々なヨガも、伝統的なヨガなのかと問われると、やや返答には戸惑いを覚えますが、「時代に合わせて変化している」という意味では、完全に間違ったヨガであるとも言い切れないでしょう。

ポジティブに捉えるのならば、「ヨガとは?」という問いに対する明確な答えやボーダーがなくなり、人間と同じように多様化しているのかもしれません。

<インタビュー中のさやか先生>

常に相手に伝わる言葉を使う

ーーーーさやか先生自身がヨガを教えるとき、また人と関わる際に心掛けていることはありますか?

レッスンでは、難しいポーズだけではないヨガを提供するようにしています。ヨガ哲学の知識をお話することもありますが、レッスンのはじめに少し伝えるくらい。難しい言葉や解剖学の専門用語はなるべく使わずに、相手に伝わる言葉や表現を取り入れるよう常に心掛けています。

また、ヨガには「アジャスト」といって、生徒の身体に先生が触れることでポーズを調整し、心地よい位置まで導いたりポーズを深めたりするサポートを行うことがあります。
ただこれも、先生が悪いところを一方的に直すだけでは、生徒さん自身の「気づき」の成長に繋がらなくなってしまうケースも。私のレッスンでは、なるべく自分の内側の感覚に意識を向け、生徒さんが自分自身で改善点を見つけられるよう導いています。

ないなら作ればいい! スタジオ開業までの経緯と現在

ーーーー2010年に『ヨガスタジオstudio SUNDARI』を開業しようと思ったとき、何が実行へ移すきっかけになったのでしょうか。

自分の活動圏内にヨガスタジオと呼べる施設がほとんどなかったというのが、開業しようと思った一番大きな理由です。東京にはポツポツとヨガスタジオが出来ていたようですが、関西はゼロに近かったんです。
深いヨガの知識を学べる養成講座もまだ日本にはほとんどない頃ですから、ヨガを教えている先生がいても、その仕事一本で生活している人は少数派。インストラクターが個人事業主として開業するというと、フィットネス系スタジオに所属してクラスを持つというのが主流でした。

それだけ、まだヨガが日本人に……とくに私の住む関西圏内で生活する人には馴染みがないものだったんです。レッスンを受ける場所はもちろん、RYT資格を取得する場所など、教える側として技術や知識を深める場所も不足していました。

ーーーーヨガスタジオを開業するにあたり、大変だと感じることも多かったのではないでしょうか。

当時、自分の子供は3歳でした。そんな大変な時にヨガスタジオを開業!?と思う方もいらっしゃると思います。ですが、そのときの私は「0〜1歳だった赤ちゃんの頃と比べたら、自分で服も着られるようになったし、少し手が離れたからいけるでしょ」という感覚だったんですよね(笑)

そのほかに開業の思い出といえば、私以外にレッスンを担当してもらうインストラクターを集めることに時間を割いたことでしょうか。自分と同じような志を持っているであろう、信頼できる先生方に声を掛けさせていただきました。

なかには「スタジオやるなら協力するよ!最初は大変だろうから、お金はいらないから!」といってくれた人もいました。
割とスムーズに人材を集めることができたのは幸運だったのかもしれません。もちろん、お給料はきちんとお支払いしましたが、そんな風に言ってくれる仲間がいたことがすごく嬉しかったし、改めて本当に有難いことだなと。開業を辛い・苦しいと思わなかったのは、こういった方々の支えがあったからだと思います。

ーーーー近年は様々な業種で、独立開業する女性もかなり増えてきましたよね。
将来ヨガスタジオだけでなく、自分のお店を持ちたいというスカラー世代へアドバイスがあればお願いします。

開業する業種や規模に関わらず、「店を開けることはそこまで大変ではないかもしれないけれど、それをどう継続していくかの方が大変」ということを、経験者として一つアドバイスしたいと思います。

ヨガスタジオでいえば、来てくれる生徒さんがヨガをするために、快適で心地よい環境を整えなければ集客は難しいでしょう。これは建物や備品といったハード面だけでなく、そこで働くスタッフや先生もそうです。
すべてがバランスの取れている状態であり、尚且つその状態を維持し続けていかなくてはいけない……これが経営の難しさであり、やりがいではないでしょうか。

次回は、さやか先生が企画・運営する『Come join yoga fest』について、イベント内容を含め、詳しいお話をお伺いします。スカラー世代への心に染みるメッセージも公開予定。更新をお楽しみに!

取材/執筆 岩本 彩

「Come Join Yoga Fest」 \最新情報/

もっと神戸の良さを知ってほしい、もっとヨガを身近に楽しんでほしい、もっと人とつながる喜びを感じてほしい。そんな想いから2015年に誕生した、神戸初の大型ヨガフェス"Come Join Yoga Fest Kobe"。

関西を中心に活躍する講師陣によるヨガや座学、演奏22クラスと、ヨガウェアやオーガニック、ナチュラルな雑貨や飲食が楽しめる充実の出店ブースが今年も集結!

日程:8/25(日)10時〜17時00分 (開場9:40)

Peatixにて、前売りチケット好評発売中!

【Come Join Yoga Fest 関連リンク】

⚫︎お話してくれた人……濱田 さやか(はまだ・さやか)

<プロフィール>
ヨガインストラクター、ヨガスタジオstudio SUNDARI(2011年オープン)オーナー。
アーサナ・呼吸法・瞑想など、国内外で学んだ幅広い知識を活かしたヨガクラス・ワークショップを開催。これまでの指導時間は、3万時間を超える。ヨガ指導者養成講座の講師を務め、後進の育成にも取り組んでいる。
2015年から毎年、神戸初の大型ヨガイベント「Come Join Yoga Fest Kobe」の企画・運営を担当。